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表示ガイドライン

「特別飼育鶏」の定義及び表示

1.いわゆる「無薬鶏」「無投薬鶏」についての現状

 本来、「無薬鶏」、「無投薬鶏」、「無投薬飼料飼育鶏」等「無投薬」の鶏とは、飼育全期間において鶏用のワクチン及び動物用医薬品、抗生物質・抗菌製剤等「医薬品」を一切投与しないで飼育された鶏でなければならない。

(1)しかし、現状においては、ワクチンの投与は行うが、飼育期間に抗生物質・抗菌製剤を投与しないで育てた鶏や、飼料に抗生物質・抗菌製剤を添加しないで飼育した鶏を「無薬鶏」、「無投薬鶏」、「無投薬飼料飼育鶏」と表示して販売されている。

(2)鶏を飼育するには感染病の予防のために、鶏用のワクチンが広く投与されている。ワクチンは、「動物用医薬等取締規則」の定義において「生物学的製剤」の「医薬品」と定められており、ワクチンを投与して抗生物質・抗菌品製剤を投与しないものを「無薬」という「無」を冠した表示は消費者に誤認を与える恐れがある。そのため、(社)日本食鳥協会では次のようなガイドラインを設定する。

2.特別飼育鶏

(定 義)

 特別飼育鶏とは、鶏の生産において、鶏の感染病予防ワクチンを投与したもので、全飼育期間にわたり抗生物質・抗菌製剤を投与しないで飼育したものをいう。

(説 明)

  • 一般に鶏の生産は、多数羽飼育で群単位で飼育するため、各種の細菌、ウイルス、各種の寄生虫の感染から守るために、法で定められた安全な方法により、抗生物質・抗菌製剤を飼料添加物として投与して飼育している。

  • しかし、消費市場の一部では"安心・安全・健康"志向から、抗生物質・抗菌製剤を無投与で飼育した鶏肉を求めるようになり、飼育現場においてこれに応えるため、全飼育期間を衛生管理の徹底により、抗生物質・抗菌製剤を投与しないで飼育する試みが行われている。

(表 示)

 ネーミングについては、「特別飼育鶏」の他、誤認の疑いをもたれぬ名称を付するよう留意するとともに、必ず特別飼育の内容を付記すること。

例 :「抗生物質無投与鶏肉」

この鶏肉(チキン)は、ワクチンは投与しておりますが、全飼育期間において、抗生物質・抗菌製剤を全く与えないで飼育したものです。

「熟成むね肉」の定義及び表示

1.定 義

 「熟成むね肉」とは、と鳥、大ばらし後、骨付きのまま「0~2℃」で数時間冷蔵庫で貯蔵(熟成)させ、その後解体処理を行い採取された「むね肉」をいう。なお、貯蔵に際し乾燥を防止するため一定の湿度下にて行うものとする。

2.表 示

事例:「熟成むね肉」
骨付きのまま〇〇時間一定の温度で貯蔵後に製品化した軟らかい「むね肉」です。

3.理 由

  消費者の「むね肉」への評価は、パサツク、冷えると硬くなる等の不評が多い。これは、「むね肉」採取方法(と鳥からの時間)に課題があるとの指摘を受け、欧米で行われている解体手法を用いることで解消された。

  単に、「むね肉」製品を一定の時間寝かせることとの誤認を避けるため、任意表示として「熟成むね肉」の内容を示して消費者に訴求し理解を深め「むね肉」の消費拡大に繋げる。

熟 成

 除骨時間が鶏熟成むね肉の品質に及ぼす影響」-食味性、理化学的および組織学的特性について-(要約から抜粋)と殺後4時間以降に除骨を行うと保水性の低下が抑制されると同時に軟化が促進され、これまでの鶏むね肉より軟らかくてパサパサ感の少ない品質に改良できる。

「成鶏肉」及び「種鶏肉」の表示

1.食鶏取引規格及び食鶏小売規格の中で"親"について以下のとおり定められている。

(1)定 義

〇親めす:5カ月齢以上の食鶏の雌をいう。
〇親おす:5カ月齢以上の食鶏の雄をいう。

(2)格付基準

親めすは、「卵用種」と「肉用種」に区分する。親おすは、区分しない。

(3)解体品の表示

〇流通規格
正 肉:親めすの正肉には"親"を冠する。
副品目:親めす及び親おすには"親"を冠する。
親の解体品には品質標準を設けない。

〇小売規格
親の解体品には"親"を冠する。

2.成鶏肉及び種鶏肉の表示について

(1)成鶏肉(採卵鶏を原料にしたもの)

"親"を冠する

表示事例:親正肉、親もも肉、親むね肉、親中ぬき親ささみ、親もつ、親かわ、親こにく、親きも、親すなぎも

(2)種鶏肉(肉用種の種鶏を原料にしたもの)

"種鶏"を冠する

表示事例:種鶏もも肉、種鶏むね肉、種鶏ささみ、種鶏中ぬき 種鶏骨付きもも親おす中ぬき

流通段階における凍結品等の表示

 販売業者が製造業者の設定した賞味期限を保存条件を変えることにより変更する場合の表示方法については、「流通段階で適切に保存方法を変更したものであって、期限表示の変更が必要となる場合は、適切な表示を確保する観点から、変更された保存方法及びこれに基づく新たな期限を改めて設定し、適切に表示し直さなければなりません。

  なお、流通段階で食品を凍結する場合にあっては、食品等の製造業者等が責任を持って温度管理を実施すること等により、食品等の衛生上の危害を防止することが望まれます。

 また、保存温度を変更した理由が消費者にわかるように注意事項等として記載する等により、誤解が生じないよう注意する必要があります。

 なお、期限の再設定が科学的、合理的根拠をもって適正かつ客観的に行なわれた場合には、ラベルを張り替える行為自体が法令違反になることはありません。」

「平成14年3月25日付食企発第0326001号食監発第0325002号の通知は廃止することとします。」と記載されている。

○上記及び過去の経過等を踏まえ、流通段階において保存方法を変更する
「凍結品及び解凍品」の表示について、食鳥協会が平成14年度に定めた次の自主ルールを一部文言を修正して継続する。

流通段階での凍結品及び解凍品の表示について

(社団法人 日本食鳥協会)

1.製造又は加工後、やむを得ず流通段階で保存方法を変更したもので、期限表示の変更が必要となる場合には以下により適確に期限及び保存方法の表示(追加表示)を行う。

2.凍結処置をする場合

  • 追加情報として段ボール箱に凍結品表示を行う。この場合、従前の情報(生鮮品情報)は消さないものとする。

  • 表示事項は、ア)凍結日、イ)期限表示、ウ)保存方法、エ)凍結者の4項目を必須とし、ラベル及びスタンプで段ボール箱に明りょうに表示する。

  • 本凍結品は、段ボール流通(段ボール単位としての商品)を行うこととし、2kgポリ袋単位の流通は認めない。

    流通段階での表示ラベル事例

    凍   結   品
    凍結日
    賞味期限
    保存方法
    凍結者  〇 〇 〇 株式会社
         △  △  事業所
         住 所
         電話番号
    使用上の注意
      本凍結品は流通段階で保存方法を変更したのでダンボール箱流通となります。

    ○2kgポリ袋流通が見込まれる場合

    上記段ボール貼付の情報(「使用上の注意:段ボール流通となります」を削除の上)を2kgポリ袋にも貼付すること。

3.「生鮮流通用」として解凍処置をする場合

  • 袋を取り替え再計量する場合

    ①自社凍結品使用の場合

    自社生鮮品仕様の包装を行うこととし、期限表示は、自社の期限表示を定める基準に従い決めること。

    ②他社凍結品使用の場合

    原産地表示を適切に行うため、原産地の確認を行いJAS法に沿った表示をすること。

    期限表示は、原料凍結品の品質状態を勘案し定めること。

    解凍に用いる凍結品は、流通及び保管状態が万全であること。

    輸入鶏肉を使用する場合は、自社生鮮品仕様包装資材を使用しないこと。

  • ダンボール箱、ポリ袋を取り替えない場合

    流通凍結の表示に準ずる。ア)解凍日、イ)期限表示、ウ)保存方法、エ)解凍者の4項目を記載表示する。

    期限表示は、原料凍結品の品質状態を勘案し定めること。

  • 「解凍品」である旨を、現品及び送り状、納品書に記載すること。

国産品の銘柄鶏の定義について

一般社団法人 日本食鳥協会

平成9年3月25日承認
平成14年8月30日変更承認
平成17年11月29日変更承認
平成24年3月27日変更承認

「銘柄鶏」とは、我が国で飼育し、地鶏に比べ増体に優れた肉用種といわれるもので、通常の飼育方法(飼料内容、出荷日令等)と異なり工夫を加えたものをいう。

なお、地鶏の定義については、「地鶏肉の日本農林規格(通称 特定JAS:平成11年7月施行、平成22年6月16日改正)」が施行されたことにより、これに基づきます。また、一般社団法人日本食鳥協会は、地鶏の定義を地鶏肉の日本農林規格の施行以前に制定しておりましたが、一本化するために日本農林規格に基づくことにします。

【参考:地鶏肉の日本農林規格の概要】

地鶏肉の日本農林規格(通称 特定JAS)が、平成11年6月21日に制定された。その概要は、以下の通り。

地鶏肉の日本農林規格

制 定平成11年6月21日農林水産省告示第 844号
改 正平成17年10月5日農林水産省告示第1513号
改 正平成22年6月16日農林水産省告示第 923号
最終改正平成27年8月21日農林水産省告示第 2009号

(適用の範囲)

第1条

この規格は、鶏肉等(ささみ(すじなしを含む。)、こにく、かわ、あぶら、きも(血ぬきを含む。)、すなぎも(すじなしを含む。)、もつ(きも及びすなぎも以外の可食内臓をいう。)及びがら(以下「ささみ等」という。)を含む。)に適用する。

(定義)
第2条

この規格において、次の表の左欄に掲げる用語の定義は、それぞれ同表の右欄に掲げるとおりとする。

用 語 定 義
在 来 種 明治時代までに国内で成立し、又は導入され定着した別表に掲げる鶏の品種をいう。
平 飼 い 鶏舎内又は屋外において、鶏が床面又は地面を自由に運動できるようにして飼育する飼育方法をいう。
放 飼 い 平飼いのうち、日中屋外において飼育する飼育方法をいう。
在来種由来血液百分率 在来種を100%、在来種でない品種を0%とし、交配した品種にあっては両親のそれぞれの在来種由来血液百分率の1/2の値を合計した値をいう。

(地鶏肉の規格)
第3条

地鶏肉の生産の方法についての基準は、次のとおりとする。

事 項 基 準
素 び な 在来種由来血液百分率が50%以上のものであって、出生の証明(在来種からの系譜、在来種由来血液百分率及びふ化日の証明をいう。)ができるものを使用していること。
飼 育 期 間 ふ化日から75日間以上飼育していること。
飼 育 方 法 28日齢以降平飼いで飼育していること。
飼 育 密 度 28日齢以降1平方メートル当たり10羽以下で飼育していること。

第4条

地鶏肉の品質に関する表示の基準は、次のとおりとする。

事 項 基 準
表 示 事 項 1 次に掲げる事項を表示してあること。
(1) 名称
(2) 組合せ
(3) 飼育期間
(4) 飼育方法
(5) 内容量
(6) 品質が急速に変化しやすく速やかに消費すべきものにあっては消費期限、それ以外のものにあっては賞味期限
(7) 保存方法
(8) 生産業者(小分けをしたものにあっては、小分け業者)の氏名又は名称及び住所

2 容器に入れ、又は包装したもの以外のものにあっては、1の(5)から(7)までに掲げる事項を省略することができる。
表 示 の 方 法

1 表示事項の項に規定する事項の表示は、次に規定する方法により行われていること。

(1) 名称
商品名中に「地鶏」の文字を使用している場合を除き、「名称」の文字を冠して、「地鶏肉」又は「地鶏」と記載すること。ただし、ささみ等にあっては、商品名中に「地鶏ささみ」等「地鶏」の文字の次に鶏肉の部位を記載している場合を除き、「地鶏」の文字の次に鶏肉の部位名を加え、「名称」の文字を冠して、「地鶏ささみ」等と記載すること。

(2) 組合せ
「組合せ」の文字を冠して、在来種由来血液百分率が50%以上である父鶏又は母鶏の由来する在来種の一般的な名称を「父○○×母○○」、「父○○」又は「母○○」等と記載すること。なお、この場合において父鶏又は母鶏の由来する在来種が2品種以上である場合にあっては、それぞれの在来種に由来する血液百分率の高いものから順に1品種以上の名称を記載すること。

(3) 飼育期間
「飼育期間」の文字を冠して、飼育した期間を、次の例のいずれかにより記載すること。
ア ○○日
イ ○○日以上
ウ ○○日~○○日(上限の日数と下限の日数との差は20日以内であること。)

(4) 飼育方法
「飼育方法」の文字を冠して、「平飼」又は「平飼い」と記載すること。ただし、28日齢以降放飼いしたものにあっては、「放飼」又は「放飼い」と記載することができる。この場合においては、当該文字の次に括弧を付して、28日齢以降全飼育期間放飼いしたものにあっては「全期間」等と、28日齢以降一部の飼育期間を放飼いしたものにあっては放飼いした期間を週の単位で「○週間」等と単位を明記して記載すること。

(5) 内容量
「内容量」又は「正味量」の文字を冠して、内容重量をグラム又はキログラムの単位で、単位を明記して記載すること。

(6)消費期限又は賞味期限
品質が急速に変化しやすく速やかに消費すべきものにあっては消費期限(定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。)を、それ以外の冷凍保存したものその他のものにあっては賞味期限(定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。)を、「消費期限」又は「賞味期限」の文字を冠して、次の例のいずれかにより記載すること。
ア 平成22年3月29日
イ 22.3.29
ウ 2010.3.29
エ 10.3.29
オ 220329
カ 100329

(7) 保存方法
「保存方法」又は「保存温度」の文字を冠して、「4℃以下で保存すること」、「4℃以下」等と記載すること。

(8) 生産業者の氏名又は名称及び住所
「生産業者」又は「生産者」の文字を冠して記載すること。

(9) 小分け業者の氏名又は名称及び住所
「小分け業者」、「加工包装業者」、「加工包装者」、「加工業者」又は「加工者」の文字を冠して記載すること。

2 表示事項の項に規定する事項の表示は、容器若しくは包装の見やすい箇所、送り状又は地鶏肉に近接した掲示その他の見やすい場所にしてあること。

3 容器又は包装に表示する場合においては、当該表示に用いる文字は、背景の色と対照的な色で、日本工業規格Z8305(1962)(以下「JISZ8305」という。)に規定する8ポイントの活字以上の大きさの統一のとれた活字とすること。ただし、表示可能面積がおおむね150cm 2以下のものにあっては、JIS Z 8305に規定する6ポイントの活字以上の大きさの活字とすることができる。

4 この条中「名称」とあるのは、これに代えて「品名」と記載することができる。

表示禁止事項

次に掲げる事項は、これを表示していないこと。

(1) 品評会等で受賞したものであることを示す用語(ただし、品評会等で受賞した鶏と素びなの品種(交配様式)、ふ化日からの飼育期間並びに28日齢以降の飼育方法及び飼育密度を同じくするものであって、受賞年を併記してあるものに表示する場合を除く。)及び官公庁が推奨しているかのように誤認させる用語

(2)表示事項の項の規定により表示してある事項の内容と矛盾する用語

(3)その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示きる。

附 則(平成17年10月5日農林水産省告示第1513号)

(施行期日)

1 この告示は、公布の日から起算して30日を経過した日から施行する。

(経過措置)

2 この告示の施行の日から起算して1年を経過した日までに行われる地鶏肉の格付については、この 告示による改正前の地鶏肉の日本農林規格の規定の例によることができる。

附 則(平成22年6月16日農林水産省告示第923号)

平成22年8月15日以前に行われる地鶏肉の格付については、この告示による改正前の地鶏肉の日本農林規格の規定の例によることができる。

(最終改正の施行期日)

平成22年6月16日農林水産省告示第923号については、平成22年7月16日から施行する。

別表 (第2条関係)

会津地鶏、伊勢地鶏、岩手地鶏、インギー鶏、 烏骨鶏(うこっけい)、 鶉矮鶏(うずらちゃぼ)、 ウタイチャーン、エーコク、 横斑(おうはん)プリマスロック、 沖縄髯地鶏、尾長鶏、 河内奴鶏(かわちやっこ)、 雁鶏、岐阜地鶏、熊本種、 久連子(くれこ)鶏、黒柏鶏、コーチン、 声良鶏、 薩摩鶏、佐渡髯地鶏、 地頭鶏(じどっこ)、 芝鶏(しばっとり)、 軍鶏(しゃも)、 小国(しょうこく)鶏、 矮鶏(ちゃぼ)、 東天紅鶏、 蜀鶏(とうまる)、 土佐九斤(とさくきん)、土佐地鶏、対馬地鶏、名古屋種、 比内鶏、三河種、 蓑曳矮鶏(みのひきちゃぼ)、 蓑曳(みのひき)鶏、宮地鶏、ロードアイランドレッド